保険金不正請求問題で揺れているビッグモーターですが、全店舗を通じて多くの不祥事もあったようです。
そこで今回は、ビッグモーターの不祥事はなぜ発覚したのか、その経緯や当初の内部告発がもみ消された理由について調査をしました。
ビッグモーターの不祥事はなぜ発覚した?
最初の内部告発
ビッグモーターの不祥事が発覚した発端となったのは、2021年秋の内部告発だったという。
ビッグモーターの複数の関係者によると、水増し請求が表面化したのは2021年秋のこと。損保の業界団体に「上長の指示で過剰な自動車の修理をし、その費用を保険会社に請求している」という旨の内部通報があったことがきっかけだ。
引用元:東洋経済ONLINE
実に今から2年も前のことだったのですね。
その内部通報を受けて、ビッグモーターと取引のある、損保ジャパン、東京海上、三井住友海上の保険会社3社がサンプルを調査を実施。
その結果、全国に33の整備工場にうち25の工場で、水増し請求の疑いがある案件が80件見つかったという。
その後調査が進み、現在は33の整備工場で、300件超の不正が発覚しています。
しかし、ビッグモーター側は手続きミスなどと報告したため、損保側は納得せず厳密な調査を求めていました。
特別調査委員会の設置
損保側がさらに調査を求めていた中で、不祥事の確証を掴んだことや、マスコミなどの外部からの指摘もあり、2023年1月にビッグモーターはやっと第三者による調査の実施を決定しました。
不正車検問題
不正車検が明らかになったのは、熊本市にある「ビッグモーター熊本浜線店」です。
熊本浜線店では、車検の一部を実施せずに車両を合格させていたというものです。
2022年12月以降に実施した車両の内58台について、スピードメーターの誤差を確認する検査を行っていなかったにもかかわらず、整備記録を改ざんし虚偽の記載をして適合証を交付しました。
同時に不正行為に関わったとされる自動車検査員の2名を解任しています。
車検記録の保存は2年間と決まっているため、それ以前の車両の整備状況は不明となっています。
そして九州運輸局は2023年3月24日付けで、ビッグモーター熊本浜線店に対して、指定自動車整備事業者(民間車検場)の取消処分を行ったと発表しています。
車検の検査項目である速度計の検査だけでなく、複数の法令違反が確認されたという。
過去においても事故修理で入庫した車両の修繕費を水増しして、損保会社へ請求していたことが報道され、車検の話よりも「ビッグモーター」という会社への非難が集まっていました。
スピードメーター検査とは
スピードメーター検査とは、実際の速度とメーターの表示が一致するかを確認する検査で、車の駆動輪を速度計に乗せ、表示を確認するものです。
車には前後どちらかのタイヤが動く2輪駆動と、前後とも動く4輪駆動がありますが、4輪駆動の場合は、計測しない2つのタイヤにローラーをつける作業が必要になります。
また、外国車などには特殊な方法で計測する必要があるので、単純に2輪駆動より余計に時間がかかります。
ちなみに虚偽の記載をしたとされる58台は、全てが4輪駆動か外国車だったという。
検査時間を短縮させるために実施しなかったと考えられます。
ブレーキのダメージやタイヤのすり減り、エンジンの不具合など、わずかな整備不良でも大惨事を招く恐れがあり、車検の一工程を時間短縮のため行わないことは、非常に恐ろしいことですね。
社員への罰金制度
ビッグモーターの不祥事に関しては、これまでも多くの事例があったようです。
特に目を引いたのが、2016年に起こった「ビッグモーター社員への罰金制度」です。
2016年12月4日付けで報じられた産経新聞の内容です。
「自動車保険の契約について月間目標額が定められ、目標を下回った販売店の店長が、上回った店長に現金を支払う慣行があることが3日、同社への取材で分かった」
引用元:産経新聞
衝撃的な内容ですね。
目標を達成できなかった店長は、上限10万円をポケットマネーで支払わされ、目標を達成した店長たちに分配されるというシステムのようです。この慣行は報じられる前の5年前(2011年)から、会社内で行われていたという。
月1回の会議時に経営陣が退席した後、実績上位の店長が仕切り役となり本部からの配布表に従い、店長が現金を個人負担するという。
この問題が報じられた時、会社側は店長間で勝手にやっていたこととしていましたが、実は2015年6月に社長名で「保険選手権大会に関して」という、メールが発信されていました。
ビッグモーターの不祥事に関して、YouTubeで発信している元社員の中野優作氏は、当時は自分も店長時代に数百万円の罰金を払ったと話しています。
当初の内部告発がもみ消された理由は?
保険金の水増し請求など、次々問題が浮かび上がってきますが、2022年1月の内部告発では、社長の甥にあたる塗装作業員が「不要な板金・塗装作業を強いられている」として、証拠となる写真や書類を社長にLINEで送っていたという。
しかし、ビッグモーターではそれを受けての調査は行わず、告発をもみ消したとされています。
ビッグモーターは、不正請求などの原因は連携不足や連絡ミスで、組織的に行っていないという考え方が根底にあり、不祥事も不祥事ではないという考え方です。
身内にまでも兼重宏行社長らは、職場内の確執による告発だとみなして、特に調査を指示しなかったようです。
すでに兼重宏行社長と息子の兼重宏一副社長は、知らぬ存ぜぬを通し、辞任を表明しています。
不祥事発覚の経緯
ビッグモーターの不祥事発覚についての経緯を時系列で表します。
・2016年12月:ビッグモーター内の罰金制度が発覚し、社長指示が判明する
・2021年秋:ビッグモーター社員が損保側に水増し請求を内部告発
・2022年1月:社員が社長に不正の内部告発、しかしもみ消しの疑いあり
・2022年2月:損保会社がサンプル調査で水増し請求発覚
・2023年1月;ビッグモーターが第三者による特別調査委員会の設置を発表
・2023年3月:不正車検で行政処分を受ける
・2023年7月:水増し請求が発覚、さらに多くの不祥事も公表される
ビッグモーターでは、社内の罰金制度も驚きでしたが、水増し請求も内部告発がありながら、なかなか表面化しませんでした。
今後さらに詳細まで調査し、早急に被害を被った人にはそれなりの保証をしてもらいたいですね。
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ビッグモーターの不祥事発覚まとめ
今回は、ビッグモーターの不祥事はなぜ発覚したのか、その経緯や内部告発がもみ消された理由について見てきました。
ビッグモーターの不祥事が発覚する発端となったのは、2021年秋の内部通報だったようです。
損保会社3社がサンプル調査を行ったことで、水増し請求の疑いも見つかりました。
しかし、内部告発がありながら、ビッグモーター側のもみ消しの疑いなど、なかなか表面化しませんでしたが、過去の多くの不祥事が公表されたことで、疑いのないものとなりました。
今後は、今までの不正をすべてさらけ出し、被害者の保証にあたってもらいたいですね。